【菜根譚】を読む。
今日は父の日であったので、祝ってもらった。日頃から好きなレストランで、ゆっくりと味を嚙みしめながら、食事を愉しむ。まさに淡々とした一日の出来事であった。
週末の朝はテニス仲間7-8人とかなり激しいテニスを2時間ほど過ごして、帰宅してシャワーを浴び、仮り寝する。その後に好きな本を読むか、知人と知的なランチの会食を愉しむ。
こういった週末はビジネスの現役の時はなかなか作れなかったが、晩年になってくると、知人との会食と好きな本をじっくり読むのが一番楽しい。
好きな本が約20-30冊位あるが、何度読んでも飽きないのが「洪自誠」の「菜根譚」であろうか。明の時代の方であるが、この生き方に惹かれる。儒教・道教・仏教を学んだ方なのだろう。
潔癖な迄の倫理性、のびやかで自由な考え、そして処世の生き方を教えてくれる。日本に紹介されたのが1822年頃と江戸時代の後期の様である。
明までの中華は素晴らしい哲学や生き方を残してくれた。【人生の深さ】を知らしめてくれる。名前が良い、菜根譚とはじっくりと噛みしめるという意味らしい。短い文章の中に人生の本質や生き方が散りばめられている。「淡々」と述べられているのが好きだ。疲れた時や判断に迷いがある時、行き詰っている時に、何処の章からでも入れるのが良い。
心の快復薬みたいなもので、手軽に取れるし、人生のひと時、ひと時を楽しましてくれる。こんな本を週末に、1,2時間読むと、歳を取ってきた晩年をゆっくりと嚙みしめる事が出来て、人生の味わいをまろやかかな気持ちにさせてくれる。豊饒とはいい言葉である。
食事の豊饒は余り好きでないが、粗食を淡々と味わうのが、一番である。この書にはそれがある。ゆっくりと書との淡交を楽しみながら週末の時間を過ごす事が、来週からの活力を与えてくれる。こういう時こそ、人生を生かされている「今」という時程、心の満足感を満たしてくれるものはない。
機会があれば一読される事をお勧めする。まさに活力元気にさせてくれる心の媚薬の書であろう。